Alice In Wonderland
- Es99 Official web page -

修理日報

空燃比フィードバックモニターの怪


トヨタのEFI車の多くは,ダイアグノーシスコネクターの中のVF端子が
TE1-E1ショート時には空燃比フィードバック状況のモニターとなり,
TE1-E1開放時アイドル接点ONで空燃比フィードバック補正量モニターになる.
要するにO2センサーを暖機したあとにVF端子電圧を測って
2.5V付近であれば燃料系,エアフロ系はEFIコンピューターが期待すべき状況に
近くなっており,それより低いときはEFIコンピューターはリーン(にする)制御,
高い時はリッチ(にする)制御になっているという事である.

例えば何らかの原因でインジェクターの能力が初期値よりも低下したりすると
EFIコンピューターが計算通りの噴射を行っても,噴射されるガソリンは
理想量よりも少ないのでO2センサーからはリーン信号が出され,それにより
EFIコンピューターは,インジェクターの噴射量を計算値よりも増加して
これを補う訳であるが,このときにVF端子にその補正状況を出力する
(この場合2.5Vより高い電圧,つまり濃くする=リッチ補正)訳である.

さてさて
そう言えばこの車を買った時にいろいろ調子が悪くてディーラーに見てもらった時に
ディーラーのおっちゃんが
"燃料が濃いからとりあえずインジェクターとO2センサーを交換した"
とのたまわっていたが,その時になんとなく誤魔化すような感じで,直ったとは
言っていなかったのを思い出した.

そのときはまーあまり気にしていなかったのだが,この端子電圧を測って見て
おっちゃんのなんともふに落ちない行動がはっきりした.

マニュアルどうり,TE1-E1をショートしてテストモードに入れ,2500RPMで
暖機を開始.数十秒後にVF端子電圧が0V-5Vを行ったり来たりし始めて,
EFIコンピューターがO2センサー出力を元に空燃比のフィードバック制御を
開始した事が確認される.
ここでO2センサーが冷えないうちにTE1-E1を開放して,VF端子の電圧を見てみると...
先ほども述べたように規定値は2.5Vで,許容範囲は確か±0.6Vであるから
少なくとも1.9Vから3.1Vの中くらいに入っていてくれないといけないのだが,,,
何と,0.9Vである.

AE101はLジェトロニック式なのでエアフロメーターのバイパス経路のネジを調整する事で
若干の空燃比基準信号の調整が出来るが,これを締め切ろうが緩めきろうが
到底2.5Vなんて数字には近づきはしない.
しかも不思議な事に,締めすぎると0Vになってしまうし,あるポイントまでネジを緩めると
0.9Vと0Vをぱたぱたするというわけのわからん挙動を示す.

もしかしたらAE101から空燃比フィードバック状況モニターの機能が削除されたのかと思い
とみーさんのAE111で計ってみると...見事に2.5Vである...
うーむー...
トヨタのディーラーが,エンジンコンピューターをえらく丁寧に調べていた理由が
なんとなく分かった気がする...
一見まともに動いているようだが,センサー系かコンピューターか,確実におかしい.

0.9Vという事は異常なほどのリーン制御である.
つまりコンピューターに知らされたエアフロメーターの出力が,
実際の空気流入量よりもえらく少なく入力されているか,
はたまたあるいはインジェクター開弁時間に対する噴射量が
予期したものよりもかなり多いのか,
それとも,水温センサーが低温を示したままになっているのか
吸気温センサーが低温を示しているのか...
謎は深まるばかりである.

とりあえずEFIコンピューターへの各センサーの入力電圧チェック,
その次にEFIコンピューター単体取り外して,ばらしてチェック.
更に考えられるのは,燃料のプレッシャーレギュレーターの不具合?
エアフロメーター(前ばらしたんて掃除したんだけどなぁ...)と
水温センサーのチェック...位しかやる事が無い.

そもそもO2センサーとインジェクターは新品に交換したはずだから
問題ないはずだし...

てことで,待て次号!


修理日報インデックスページへ